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色差ΔEとは? — CIE76・CIE94・CIEDE2000を比較

2色の差を1つの数値で表すΔE。1976年の直線距離の式では何が足りなかったのか、CIE94とCIEDE2000は何を改善したのかを、式と例で比較します。

ΔE(デルタE)は、2つの色がどれくらい違って見えるかを1つの数値で表した値です。印刷所が校正刷りを検品するとき、塗料店が調色を合わせるとき、ディスプレイメーカーがパネルの品質を表示するとき、いずれもこの数値を使います。0は同じ色で、数値が大きいほど違って見えます。

ところがΔEにはいくつもの式があり、同じ2色でも式によって値がかなり変わります。どの式で測った値なのかがわからなければ、数値を比べることはできません。

出発点:CIELAB色空間

ΔEの式はいずれも、CIEが1976年に定めたCIELAB(L*a*b*)色空間で計算します。L*は明るさ(0が黒〜100が白)、a*は緑(−)〜赤(+)、b*は青(−)〜黄(+)の軸です。画面のRGB値は、ガンマを解除して線形値に直したあと、XYZ三刺激値を経てLabに変換します。

Labは、距離と体感上の差が比例するように設計された知覚的に均等な色空間を目指しましたが、実際には完全に均等ではありませんでした。この不均等を直していく過程こそが、ΔE式の歴史です。

CIE76 — 直線距離

ΔE*ab = √(ΔL*² + Δa*² + Δb*²)

Lab空間における2点間の直線距離です。計算が簡単なので、今も広く使われています。Mahyら(1994)の研究で、ΔE*ab 約2.3がかろうじて気づける差(JND)に相当すると報告され、よく引用されます。

問題は、色の領域によって同じ距離でも体感が異なることです。彩度の高い色では数値が大きく出ても人はあまり差を感じず、彩度の低いグレー付近では小さな数値でもよく目立ちます。青の領域では、色相が回る方向が人の知覚とずれることもあります。

CIE94 — 彩度に応じた重みづけ

ΔE94 = √((ΔL/kL·SL)² + (ΔC/kC·SC)² + (ΔH/kH·SH)²), SL = 1, SC = 1 + K1·C, SH = 1 + K2·C

差を明度(ΔL)・彩度(ΔC)・色相(ΔH)の3成分に分け、彩度(C)が高いほど彩度差と色相差を控えめに数えます。グラフィックアーツ用ではK1 = 0.045、K2 = 0.015、繊維用ではkL = 2、K1 = 0.048、K2 = 0.014を使います。

ひとつの特徴は非対称であることです。重みに基準色の彩度を使うため、A→BとB→Aの値がわずかに異なることがあります。そのため、どちらを基準(標準試料)にするかを決めてから使う必要があります。

CIEDE2000 — 現在の標準

Luo・Cui・Rigg(2001)が複数の視覚実験データを統合して作った式で、CIE 142-2001を経てISO/CIE 11664-6として標準化されました。CIE94に次の要素を加えています。

式は長いものの結果は対称で、色相グループが違っても同じ数値がほぼ同じ体感差になるよう調整されています。ただし実装が難しく、色相角の平均を求める部分でミスが起こりがちです。Sharma・Wu・Dalal(2005)は実装ノートとともに34組の検証データを公開しており、このサイトの計算エンジンもこのデータで小数第4位まで確認しました。

同じ2色、3つの数値

2色(Lab)ΔE76ΔE94ΔE00
グレー L50 ↔ L50, a −1, b 22.242.242.37
高彩度 L50, a 2.68, b −79.78 ↔ L50, a 0, b −82.754.001.402.04

2行目は彩度の高い青です。CIE76は4.00と大きく見積もりますが、CIEDE2000は2.04で、グレーのペアとほぼ同じ体感差だとみなします。この違いがあるため、色相グループどうしで識別力を比べるときは、CIEDE2000を使うのが公平です。

どの式を使うべきか

参考資料

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