色相グループによって識別力が違う理由 — マクアダム楕円と均等色空間
緑の領域では大きく、青の領域では小さく描かれるマクアダム楕円。色度図の上で見分けられる差の大きさが色ごとに違う理由と、それを正そうとする色空間の発展を解説します。
テストをしてみると、ある色相グループは簡単に、別のグループはやけに難しく感じられます。個人差もありますが、人の色の識別力がもともと色の領域ごとに異なることは、1940年代から実験で確かめられています。
マクアダム楕円
1942年、マクアダム(David MacAdam)はCIE 1931 xy色度図上の25色を選び、観察者に比較色を基準色と同じに見えるよう繰り返し合わせてもらいました。合わせた結果のばらつき(標準偏差)を各方向で測ってみると、その形は楕円になりました。
驚くべきことに、楕円の大きさと向きは色ごとに大きく異なっていました。色度図の緑の領域では楕円が非常に大きく、青〜紫の領域では非常に小さかったのです。同じxy距離でも、青の近くではすぐに気づき、緑の近くではかなり離れないと気づかないということです。
もとの実験の楕円は合わせ込みの標準偏差なので、かろうじて気づける差(JND)はそれより数倍大きくなります。一般には約3倍と見積もられます。この実験は観察者1名で行われたという限界がありますが、その後の複数の観察者による実験でも同じ傾向が確認されています。
問題は目なのか、座標系なのか
マクアダム楕円がふぞろいなのは、半分は座標系の問題です。xy色度図は色を合わせるための座標であって、差の大きさを表すために作られた地図ではありません。世界地図でグリーンランドが実際より大きく見えるように、xy色度図は緑の領域を膨らませて描いています。
そこで、距離と体感上の差が比例する均等色空間を作る試みが続きました。CIE 1960 UCS、CIE 1976 u′v′色度図、そしてCIELAB・CIELUVがその成果です。これらの空間ではマクアダム楕円がずっと円に近づきますが、完全に同じにはなりません。残った不均等を式で補正したのが、CIE94とCIEDE2000です。
CIEDE2000で測っても差が残る理由
HueSenseはすべての問題の差をCIEDE2000で合わせているので、式が完璧なら色相グループごとの正答率は同じくらいになるはずです。それでも差が出るのには、いくつかの理由があります。
- 小面積効果:CIEDE2000のもとになった実験は、多くが比較的大きな試料で行われました。マスが小さくなると、特に青–黄方向の識別が落ちます(S錐体が視野の中心に少ないため)。
- 個人差:水晶体の加齢、錐体の比率、軽い色覚の個人差などが、特定方向の識別力を変えます。
- 画面の違い:画面が特定の色域を正しく再現できなかったり(色域不足)、ガンマがずれていたりすると、その領域の色差が小さく、あるいは大きく見えます。
- 明るさの違い:黄は明るい色なので明度差に鈍いL*の領域に位置し、無彩色は明度だけで見分けなければなりません。
苦手な色相グループが出たら
結果である色相グループの正答率が低く出たら、まずサンプル数を確認してください。各グループで数問しか解いていなければ、偶然かもしれません。何度かチャレンジして、累計の正答率でも同じグループが低く出るかどうかを見るのがおすすめです。
同じ傾向が続くなら、別の端末でも試してみてください。端末を変えても同じグループが苦手なら目の特性である可能性が高く、端末によって変わるなら画面の影響である可能性が高いといえます。赤–緑がいつも大きく苦手だと感じる場合は、眼科で標準的な色覚検査を受けるのが確実です。このテストは診断ツールではありません。
参考資料
- MacAdam, D. L. (1942). Visual sensitivities to color differences in daylight. JOSA 32(5), 247–274
- CIE 15:2004 Colorimetry, 3rd edition — CIE 1976 UCS, CIELAB, CIELUV
- Luo, M. R., Cui, G., Rigg, B. (2001). Color Research & Application 26(5), 340–350